2010/5/28
水無月の御題は、
『舟引きの 足にからまる 蛍哉』・一茶
- あやめの周りを舞いとぶ蛍がお出迎え
(生海栗の水晶寄)
- 蛍籠の中は。。。。
季節感は、暑さ寒さという肌感覚もあるのですが、
やはり訪ねた各地の山や川、畑の風景や
その土地の季節の香りで感じることが多いものです。
そんなとき、おかみは、四季を感じられるということに
つくづく幸せだなと自然に感謝します。
自然の中で季節を実感するときは、食の世界でいえば、まさに
『旬・盛り』の時期になっています。
食材でいえば、味も香りもいろどりも食感も栄養も一番良いときです。
ところが、料理としてお店で提供するとなると
やはり重要なのがほんの少し季節を先取りすること、『走り』の演出です。
料理人は、そのひと工夫にお客様へのおもてなしの気持ちをこめます。
もちろん、そのためには食材の知識も必要ですが、
それ以上にその献立のなかで風景や季節をお客様に
実感していただき、感動していただく様々な
技や知識が大切になってきます。
素材の彩り、味わい、香り、姿を生かして、
情景を描き、より美味しく仕立てられた料理に出会えると
街の中で暮らしていても田舎に帰ったような穏やかな気持ちに
なれます。その期待にこたえてくれる月替りの喰切料理は、
お堀の前の東京會舘の八千代で楽しんでいただけます。
八千代の鈴木直登料理長とおかみのご縁は、おはなし・こみしょうで
お話いただいた新潟・村上の大洋酒造さんや、おでかけ・こみしょうで味噌仕込みをした高根の鈴木信之さんのご紹介です。
鈴木料理長は、おはなし・こみしょうにも参加くださいますが
最近では、各地の農産物や加工品のご相談にのっていただいたり、
おかみがコーディネートした中学校の食育の授業の講師をしていただいたりといろいろ御世話になっています。
今日は、そんな鈴木料理長の6月・水無月の献立の一部をご紹介。
あまりの美しさ、仕事の細やかさに感動しました。
こんな仕事を経験できる八千代の若いスタッフの皆さんがおかみは、
とてもうらやましく思いました。
私ももう一度、調理場で修行してみたいと。。。
即答で鈴木料理長からは、お断りだと思いますが、、、、、
- 籠を開けると・・・
(山女魚冷製飾・枇杷卵・雨傘黍ほか)
- お椀の中は・・・
(蛇の目冬瓜・燕の巣・水前寺のり)
おかみは、子供のころの蛍狩りの記憶がよみがえりました。
蛍が見られるようなきれいな水辺もなかなかありませんが
やはり、そんな体験があるからこそ、料理により一層
感動できるということに改めて気づきました。
私たちが自宅で味わう食卓にも、暮らしにも
季節を大切に表現したいものですね。ほんの少しでも。
次代にも感動がつながるように、そして、私たちも忘れないように。
by おかみ(堀田 正子)